快眠のためには「寝具」だけでなく「寝るときに着る服」も重要だと聞いたことはありませんか?
そこで最近、注目を集めているのが“リカバリーウェア”です。
一見すると普通のパジャマと変わらないように見えますが、実は素材や設計に工夫があり、睡眠の質を高める効果が期待されています。
そこでこの記事では、「リカバリーウェアとは何か?」という基本から、その効果・選び方・おすすめ素材・人気ブランドまで詳しく解説します。
睡眠の質を少しでも良くしたい人、パジャマとの違いを知りたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
リカバリーウェアとは?意味と基本的な役割

リカバリーウェアの定義と誕生の背景
リカバリーウェアとは、快適な睡眠を得るために設計された「睡眠専用の衣類」のことです。一般的なパジャマとは異なり、体温や湿度の変化に対応できる素材を使用し、身体への締め付けや摩擦を最小限に抑えるように作られています。
人は一晩のうちに体温や発汗量が変化し、寝返りを20〜30回ほど行うといわれています。そのため、肌触りや通気性、伸縮性は快眠に大きく影響します。リカバリーウェアは、こうした人間の生理的な変化に寄り添うために誕生したものです。
近年では日本でも睡眠の質を重視する意識が高まり、ナイトウェア市場の中でリカバリーウェアに特化したブランドが増加しているようです。
睡眠科学の観点から見たリカバリーウェアの重要性
睡眠中、人の体は深部体温を下げることで自然に眠りに入ります。このとき、衣類の通気性が悪かったり、汗を吸収しにくい素材を着ていると、体温調整がうまく働かず、眠りが浅くなる傾向があります。
リカバリーウェアは、こうした体温リズムに合わせて熱や湿気を逃がすよう設計されているため、寝つきのスピードや睡眠の深さに良い影響を与えます。
株式会社ブレインスリープの創業者兼最高研究顧問である西野精治氏は著書『スタンフォード式 最高の睡眠』にて、睡眠の質を高めるには「深部体温(内臓温度)」をしっかり下げ「皮膚体温」を上昇させ、その体温差を小さくすることが重要と言及しています。
しかし多くの人が寝巻にはこだわっていないのが現状。そこでリカバリーウェアを使うことで、体温調節という観点から、睡眠の質改善にアプローチすることができるようになるのです。
リカバリーウェアがもたらす主な効果

体温調整をサポートし、眠りの質を高める
リカバリーウェアの最大の特徴は、寝ている間の体温変化をスムーズにサポートする点にあります。
人間の体は眠りに入る前に深部体温を下げ、皮膚の表面から熱を放出してリラックス状態に移行します。このプロセスがスムーズに行われるほど、睡眠の質は高まりやすくなります。
リカバリーウェアには吸湿発散性に優れた素材(コットン、テンセル、リヨセルなど)が多く使用されており、発汗時もムレにくく、快適な体温を維持できます。特に夏場は通気性の高い薄手の素材、冬場は熱を逃がしにくい保温素材が適しています。
リラックス効果で入眠をスムーズにする
リカバリーウェアは肌ざわりや圧迫感を最小限に抑え、自然と心身をリラックスさせるように作られています。寝る前の心拍数が下がり、筋肉がゆるむことで副交感神経が優位になりやすくなります。その結果、入眠までの時間が短縮され、寝つきの悪さに悩む人にも効果が期待できます。
さらに、就寝専用の服に着替える行為そのものが「これから休む」というスイッチの役割を果たします。入浴後にリカバリーウェアに着替えることで脳が自然に休息モードへ切り替わり、入眠準備が整いやすくなります。
疲労回復や自律神経のバランスを整える
一部のリカバリーウェアには、特殊な繊維や遠赤外線反射素材が使用されています。これらは体の熱を反射して血行を促進し、筋肉の緊張をほぐす働きがあります。
その結果、日中の疲労感やコリが軽減され、朝の目覚めがスッキリしやすくなります。血流の改善は自律神経の安定にもつながり、ストレスを感じやすい方にもメリットがあります。
このように、リカバリーウェアは「眠るための服」というよりも、「眠りを整える服」といえるでしょう。
リカバリーウェアとパジャマの違い

素材・機能性の違い
一般的なパジャマは「寝るための衣類」としての基本的な役割を持っていますが、リカバリーウェアはさらに一歩踏み込み、「睡眠の質を高めること」を目的に設計されています。
そのため、素材や縫製の段階から違いがあり、通気性・吸湿性・伸縮性に優れた高機能素材が多く採用されています。肌触りもなめらかで、タグや縫い目の位置にも配慮されています。
一方でパジャマはデザイン性を重視する傾向が強く、機能面ではリカバリーウェアに劣る場合があります。
着心地と通気性の違い
リカバリーウェアは、長時間の睡眠中に肌が触れる部分の摩擦を抑えるように作られています。シームレス構造やストレッチ性の高い素材を使うことで、寝返りを打っても違和感を感じにくくなっています。
通気性にも優れており、寝汗をかいてもベタつかず快適に過ごせるため、深い眠りを維持しやすくなります。
一方でパジャマはリラックス感を重視する設計が多く、快眠を目的とするならリカバリーウェアの方が適しています。
デザイン性や使用シーンの違い
近年リカバリーウェアにもデザイン性の高いものが増加しています。リモートワークや在宅時間の増加により、「部屋着兼用」として着られるタイプの人気が高まっているためです。
このため、リカバリーウェアは「眠るための服」でありながら、生活の中で自然に使える衣類として進化しています。旅行や入院などのシーンでも重宝される点も特徴です。
リカバリーウェアを選ぶときのポイント

素材で選ぶ:コットン・シルク・リヨセルなど
リカバリーウェアを選ぶ際に最も重要なのは素材です。コットンは吸湿性と通気性に優れ、オールシーズンで使いやすい素材です。肌ざわりも柔らかく、敏感肌の方にも向いています。
シルクは保温性と吸湿性の両方を備えており、冬は暖かく夏は涼しい天然素材です。高級感もあり、肌への刺激が少ないため快眠効果が高いといわれています。
リヨセル(テンセル)は植物由来の繊維で、環境にもやさしく、吸湿発散性に優れているのが特徴です。しなやかで滑らかな感触があり、汗をかきやすい方にもおすすめです。
着心地とフィット感をチェックする
リカバリーウェアを選ぶ際は、着心地とフィット感も非常に重要です。サイズが合っていないと、寝返りのたびに生地が引っ張られて違和感を覚えたり、締め付けがストレスとなって眠りを妨げる可能性があります。
体にピッタリと密着しすぎず、ゆるすぎない“ほどよいゆとり”が快適さのポイントです。伸縮性のある素材であれば、寝姿勢の変化にもスムーズに対応できるため、動きを妨げません。
また、ウエストや袖口のゴムが強すぎるものは避け、身体にやさしくフィットする設計のものを選ぶとよいでしょう。
用途やシーズンに合わせて選ぶ
リカバリーウェアは季節や生活環境によって最適なタイプが異なります。たとえば、冷房を使う夏場であれば通気性の良い薄手の素材、寒い冬場であれば保温性の高い素材が適しています。
また、「就寝中に汗をかきやすい」「冷えやすい」といった体質によっても選ぶべき素材は変わります。睡眠中の環境(寝具や室温など)も考慮しながら、自分の体調や季節に合わせて選ぶことが快眠への近道です。
近年では、1枚でオールシーズン対応できる高機能素材も登場しており、こうした製品を取り入れることで季節の変わり目にも快適な眠りを維持できます。
一般医療機器として認証されているか確認する
リカバリーウェアの中には、「一般医療機器」として認証されている製品も存在します。
これは厚生労働省が定める基準をクリアしたもので、血行促進・疲労回復・肩こりや筋肉痛の緩和など、身体への一定の効果が科学的に認められています。
このような製品は、快眠だけでなく、日常の疲労軽減や回復促進を目的とする方にも適しています。
価格は一般的なパジャマより高めですが、信頼性があり、長期的に健康維持をサポートするアイテムとして注目されています。
購入時にはパッケージや公式サイトに「一般医療機器 認証番号」や「管理医療機器ではない旨」の記載があるか確認すると安心です。
季節別・素材別に見るリカバリーウェアの特徴

春・夏におすすめの通気性重視ウェア
春から夏にかけては、通気性や吸湿性に優れた素材を選ぶことが重要です。代表的なのはコットンやリネン(麻)素材で、汗をすばやく吸収し、蒸れにくい点が特徴です。
最近では接触冷感素材のリカバリーウェアも人気があり、触れた瞬間にひんやりとした感触を得られるため、暑い季節でも快適に過ごせます。
ノースリーブやハーフパンツタイプなど、通気性を重視したデザインを選ぶのも効果的です。
秋・冬におすすめの保温性重視ウェア
秋冬は、保温性を重視したリカバリーウェアが適しています。代表的なのは、モダールやサーモライト、フリースなどの素材です。これらは軽量でありながら保温効果が高く、冷えやすい手足をしっかり温めます。
また、体温を逃がしにくいように設計された遠赤外線放射素材や裏起毛タイプもおすすめです。寒い季節は寝具との組み合わせも大切で、吸湿発熱素材のシーツや毛布と合わせることで、より高い効果を得ることができます。
オールシーズン対応の高機能素材
近年注目されているのが、オールシーズン対応のリカバリーウェアです。代表的な素材としては、リヨセルやテンセル、機能性ポリエステルなどが挙げられます。
これらは吸湿発散性と保温性のバランスに優れており、季節を問わず快適に使用できます。さらに、シワになりにくく速乾性があるため、日々の洗濯や手入れも簡単です。
一着あれば季節の変化に対応できるため、コストパフォーマンスの面でも優れています。
【厳選】おすすめのリカバリーウェア3選
ブレインスリープ|ウェア リカバリー

ブレインスリープウェア リカバリーは、着て寝るだけでフルリカバリーできる一般医療機器のリカバリーウェアです。
独自開発の新素材「メディックリカバリーファイバー」が血行を促進し、天然鉱物を原料とするセラミックスによってナノレベルでの高濃度処方、高レベルの遠赤外線放射を実現。
表面は速乾性のあるポリエステル、肌面は吸放湿性の高い天然系のコットンとレーヨンの独自開発生地を採用し、限られた睡眠時間でも究極の疲労回復が可能な一着となっています。
価格 | 28,600円(税込) |
素材 | 本体:ポリエステル75%綿15%レーヨン10% リブ:綿95%ポリウレタン5% |
サイズ | S,M,L,XL |
効果 | 疲労回復,血行促進,筋肉のハリ、コリの軽減,筋肉疲労の緩和 |
R WEAR|Relaxing Mesh リカバリーロングスリーブ

R WEARは、ソニーの技術で生まれた一般医療機器登録された遠赤外線血行促進ウェアです。
お米のもみ殻から生まれた天然由来の多孔質カーボン素材を採用し、身体から放出される遠赤外線を吸収し再輻射することで血行を促進。動きやすさと快適さを両立する3Dデザインで、自然なフィット感を実現しています。
価格 | 17,500円(税込) |
素材 | 表面:ポリメッシュ 裏面:レーヨン |
サイズ | S,M,L,XL |
効果 | 疲労回復,血行促進 |
マイまくら|疲労回復リカバリーウェア

疲労回復リカバリーウェアは、創業120年、全国45店舗を展開する「眠りの専門店マイまくら」が提供するリカバリーウェアです。
特殊繊維「BURN FLAME」を採用し、体温による遠赤外線を輻射させて血行を促進。
一般的な医療機器ウェアよりもリーズナブルで高性能なため、 AmazonやMakuakeでランキング1位を獲得するなど常に人気を誇っています。
価格 | 16,830円(税込) |
素材 | ポリエステル80% ポリウレタン20% |
サイズ | S,M,L,XL |
効果 | 疲労回復,血行促進,筋肉のハリ、コリの軽減,筋肉疲労の緩和 |
リカバリーウェアをより効果的に使うコツ

寝室環境を整える(温度・湿度・照明)
リカバリーウェアの効果を最大限に引き出すには、寝室の環境を整えることが大切です。
理想的な室温は18〜22℃、湿度は50〜60%前後といわれています。空気が乾燥しすぎると喉や肌に負担がかかり、逆に湿度が高すぎると不快感で眠りが浅くなることがあります。
また、照明を暖色系の間接照明にすることで、リラックス効果が高まり入眠がスムーズになります。
寝る前のルーティンに取り入れる
リカバリーウェアは、寝る直前のルーティンに取り入れるとより効果的です。入浴後にリカバリーウェアに着替えることで、脳が「これから休む時間だ」と認識しやすくなります。
また、スマートフォンの操作を控え、軽いストレッチや深呼吸を行うと副交感神経が優位になり、入眠がスムーズになります。
このように、リカバリーウェアを“眠りのスイッチ”として活用することが、質の高い休息につながります。
定期的に洗濯・交換して清潔に保つ
リカバリーウェアは、肌に直接触れる時間が長いため、定期的な洗濯と交換が欠かせません。
汗や皮脂が蓄積すると、吸湿性や通気性が低下し、快適さが損なわれてしまいます。少なくとも週に1〜2回の洗濯を心がけ、劣化が見られた場合は早めに新しいものに買い替えるようにしましょう。
清潔なリカバリーウェアは、肌トラブルの予防にもつながり、心地よい眠りを保ちやすくなります。
快眠の第一歩は“着るもの”から
リカバリーウェアは、単なる寝間着ではなく、「眠りを整えるためのツール」です。
素材やデザインを見直すだけで、睡眠の質が大きく変わることもあります。
どんな高級寝具よりも、肌に直接触れる衣服の影響は大きいため、自分の体質や生活リズムに合ったリカバリーウェアを選ぶことが、快眠への第一歩です。

睡眠で悩んでいた社会人2年目の25歳。
自分に合った枕に出会ったのをきっかけに、睡眠の質が改善。「この経験を皆にも体感してほしい」という想いと「寝具を買う時に試せる場所がない」という自身の経験からりばていを開設。スリーププランナーの資格を取得し、専門的な視点で寝具選びのお手伝いをしています。